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お茶の世界では季節感を大切にし、心をこめたおもてなしに反映しています。四季折々の茶趣に合わせてお道具を変えるという楽しみ方を覚えれば、もう一人前です。
参考:佐々木三味著「茶道歳時記」

正月を迎え、一年のはじめとして気持ち新たに華やかな月。
茶道の家元をはじめ、教授者宅において行う新春の稽古はじめの「初釜(はつがま)」が行われる。初点であり、新春を寿(ことほ)ぐ意味があるので、社中だけではなく来賓を招待することもある。

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大小2つの井戸型の赤楽茶碗(あからくぢゃわん)を重ねたもので、内側に金・銀が塗ってある。高台も主茶碗が5角形となって鶴を表し、子茶碗が6角形となって亀を表している。

正月の祝儀ごとが続いた1月が過ぎ、実際の春にも遠い2月は、冬の中でもっとも落ち着いた静かな月。身の引き締まるような厳寒の中にこそ、茶情茶心がある。

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立春の前夜、各地の神社や寺院では、疫鬼を追い払う「追儺の式」が行われる。一般的に「鬼は外、福は内」と言いながら豆まきを行い、門口にいわしの頭やヒイラギをさして悪魔除けをする。節分釜はそれらの行事や風物を茶席に採り入れたもので、道具組に鬼萩(おにはぎ)、枡形(ますがた)、お福人形などそれらしい雰囲気のものが選ばれる。
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きんきんに冴える朝や雪の降る日があったりするが、じょじょに暖かくなってきて、春の到来を日に日に感じられる月。
この月から多くが釣釜(つりがま)となる。
揺れてならない釜が、柄杓をかけるたびにわずかに揺れるのも風情がある。炭手前(すみでまえ)に釜を上げ下げするのもおもしろい。広間では鎖を、小間では竹の自在を、天井の蛭釘から下げて、それに釜を釣る。
釣釜では五徳を使用しないので、五徳の蓋置が好んで用いられる。万が一釜が落ちたときのために、灰の中に五徳を埋めておく流派もある(忍び五徳)。
釜は、筒釜(つつがま)、雲龍釜(うんりゅうがま)などの小さく細長いものが用いられる。

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気候がよくなってから、茶箱や茶籠を持って行う大自然の中でのお茶。3月は花の下などでお茶を楽しむのにいい季節。松の枝などに釜を釣るのもたいへん風情がある。
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炉塞ぎ(ろふさぎ)は炉の名残。
中旬を過ぎると暮春の感じが一段と深くなり、行く春の哀愁が胸にしみてくる。半年間慣れ親しんできた炉も4月かぎりで塞ぐ。
逝く春の名残と相まって、炉との別れは風炉の名残ほど切々たるものではないとされているが、やはり胸中には哀愁と惜別の念がこもる。

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陽気があたたかくなるに従って、客から火を遠ざけ、火を見せまいとする思いやりから、4月は炉壇にかぶさる透木釜や平羽釜(ひらはがま)が用いられる。

風炉(ふろ)に改まった当座を特に初風炉(しょぶろ)と言い、おもく見られる。
気持ちが改まるが、掛け物は季節以外の区別はない。風炉になると籠花入(かごはないれ)も用いられる。炉の香合は陶磁器が主であったが、塗り物や木地の香合(こうごう)になる
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釜も大きな炉釜から小ぶりな風炉釜になる。茶碗ははっきりとした区別はないが、深いものよりも浅いものが使われることが多い。また、竹の蓋置は炉用の中節から風炉用の節切りになる。

山・水・雲・風などの語の掛け物、茶杓の銘、平茶碗、馬盥(ばだらい)などの浅い目の茶碗、義山(ぎやまん/ガラス)の茶道具、満々と水を見せる広口の水指など、涼しさを連想させるものや、見た目にも涼しいお道具を取り合わせる。

茶室の窓の簾は一年中かけておくが、障子などの隔ての建具を葭(よし)障子や簾に改める。また、茶事七式の1つである朝茶事(あさちゃじ)も催される。
その他にも、夏祭りにちなんで釜をかけたり、夕ざりの茶と言って日没から宵にかけて、日中の暑さを避けて行われるものもある。夕ざりの茶は元来春秋が多く、夏は虫の多さから行われなかったが、現代では防虫ができているため夏の夕にも行われる。

立秋からは残暑と呼ばれるが、9月頭まで暑さが厳しいこともある。
滝など水に縁のあるものやガラスの茶道具などで涼を誘うのも差し支えない。月末ともなれば「桐一葉落ちて天下の秋を知る」の語から、秋の訪れを桐一葉に託すのもよい。

日中は暑さが残っていても、日が落ちると涼しい風が吹いて秋の気配が漂う。
秋の夜はとりわけ月が美しく、中秋の名月にちなんでススキや団子を供えて望月を崇め干渉するといい。また、風のない晴れた夜に大気が冷えてくると、地表近くの草木に水滴が作られ、これが露となる。

茶の方では10月を名残月(なごりづき)と言う。
名残には2つの意味があり、1つは茶壺への茶の名残、もう1つは風炉の名残。この月をかぎりに、風炉から炉へと釜が変わる。それらに加えて深まっていく秋の気配は、いかにもしんみりと侘びた情趣が漂い、茶道の侘び寂びの心が取り合わされる。
また、この季節になると火を客の近くに置く亭主の思いやりが「中置(なかおき)」という特別のはからいとなった。10月だけ行われるものであるが、10月は必ず中置というわけではなく、普通の釜の据え方でももちろん差し支えはない。

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鉄風炉の甑(こしき)や肩の辺りが欠け落ちたものを捨て去るには忍びなく、そのままか、もしくは破れ目に鎹(かすがい)を打って中置に用いること。しかし後世では意識的に叩き割ったものが多く、それらは雅味が少ない。茶碗なども割れたものを接いで使うことがある。

開炉は炉びらきとも言う。
何日からと決まっているわけではなく、朔日から炉を開く茶家もあれば、3日の文化の日に何かの行事に合わせて開く流派や立冬からとする流派がある。古風な家では陰暦10月の中の、亥の日に炉を開く。「柚の色づくを見て囲炉裏に」という千利休の言葉が示すように、暦にこだわるよりもその年の寒暖から判断するのもよい。
いずれにしても開炉は、初風炉とともに茶人にとっては楽しいものである。

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茶道では、1年を風炉の茶と炉の茶に分ける。炉はおよそ11月から翌年4月末頃までの半年間。炭道具も炉用になり、香は練香を使うため香合も陶磁器を用いる。竹の蓋置、柄杓も炉用を使う。

20日を過ぎると、歳暮の釜をかけて忙中の閑を楽しむ。
侘びた風情がよく似合う、茶道ならではの風流である。餅つきに寄せて餅搗釜(もちづきがま)をかけることもある。

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年も押し詰まった大晦日の夜、茶人は除夜釜をかける。1年間お茶を楽しませていただいたことに感謝し、ゆく年を振り返りながらお茶を飲む。大概は夕食後から12時頃までであり、来客には「つごもり蕎麦」を出すこともあるが、改まったおもてなしはせず、蒸し饅頭などの温かい菓子を出して薄茶一服を供する。108つの煩悩を撞き砕く除夜の鐘を聞き終えると、炉中の火に灰をかぶせて埋火(うずみび)として、火を絶やさず元旦の種火として、大福茶につなげる。




























